ふれあいコラム Vol.18「ブナの森と雪渓への誘い」

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 6月も半ばを過ぎ、梅雨の季節に入りました。この時期は、何処に行っても天気が悪いのが相場ですが、太平洋と反対方向の山間に行くと、つかの間のお天気に恵まれる確率が高いようです。そこで、是非紹介したいのが、福島、山形、新潟の3県に跨る飯豊連峰です。

 梅雨晴れの青空に、雪を抱いた2000m級の山々が連なる飯豊連峰、新緑の中にポッカリと浮かび上がり覆い被さってくるような迫力、実に爽快な眺めです。私が目指したのは、北股岳(2,025m)を戴く山形県と新潟県の境近く、山形県小国町からのルートです。

 山間の渓谷には玉川が流れ、曲がりくねった道を川沿いに車で上って行くと、道端に車を止め岩魚釣りを楽しんでいる人が結構います。飯豊山荘に車を止め、ここから先は徒歩で鬱蒼としたブナの森を鳥のさえずりを聞きながら進みます。樹齢300年は下らないと思われる巨木が立ち並び、神秘的な雰囲気が漂います。

 ちょっと林に目を向けると山菜が目に付きます。あいこ、もみじがさ、みずな、うど、しおで、わらび、ぜんまい等、山菜の宝庫といっても過言ではありません。持参した袋に道端で採った山菜を詰め、一息入れようと思う頃に温身平(ぬくみだいら)に到着。15mほどの高さの砂防ダムから勢いよく水が流れ、ひんやりとした水しぶきが心地よく、マイナスイオンがたっぷり、つい休憩時間が長くなってしまいます。
 ダムから先が、梅花皮(かいらぎ)沢、上に出ると満々と水を湛える真っ青な湖があり、底知れぬ深さの中で魚も悠々と泳いでいます。足が竦むので遠くの方を眺めると、湖から枯れ木が立ち並び、山々が水鏡に映り、絶景が広がり絵になります。
 起伏の大きい登山道を暫く登ると、渓谷がより深くなり、沢音も聞こえないほど遥か彼方の眼下に流れが見えます。道は益々厳しく急斜面に沿って靴幅程に激変。さすがにビビリ、足が勝手に震えてしまいました。

 温身平からの難関を越えてくると、東北一の大雪渓が迎えてくれます。ここから先の石転び雪渓は、約2.5kmにもおよぶ万年雪の沢、雪渓の上を登って行くと陽が差してきて、一面に靄が立ち込め冷たい空気が頬に伝わり寒いぐらい。雪渓の下を流れる沢の水も、万年雪の影響で真夏でも10℃程度ととても冷たいです。顔を洗い雪渓のど真ん中で昼食、冷たーいワインが美味しかったです。   
                                                              (化石)